俺には、彼女がいる。 っていうんだ。は、何でも出来ると思ってたんだけど、やっぱりも人。出来ないこともあった。それでも、俺はが大好きだ。


この前のこと(前回の話)があって以来、俺達は、さらに仲良くなった。教室でも、よく、しゃべるようになった。

菊丸 「で、桃が――・・・。」
 「へぇ〜。」
菊丸 「・・・もう、わけわかんないでしょ?」
 「うん。」

だけど・・・。最近、なんだか素気ない。楽しそうに笑ってくれない。教室以外では、楽しそうなのに・・・。


菊丸 「・・・で、どう思う?不二。」

というわけで、不二に相談してみた。

不二 「英二。自分で考えてみた?」
菊丸 「うん。」
不二 「・・・わかったよ。僕も、が楽しそうじゃない、っていうのには気付いていたよ。だけど、理由までは、わからない。それは、本人に聞いてみないと。」
菊丸 「だけど、言ってくれないと思う。」
不二 「そうだね。じゃあ・・・・・・。」


菊丸 「、今日ヒマ?」
 「ヒマだけど?」
菊丸 「部活、見に来ない?」
 「いいの?」
菊丸 「もち!手塚にも許可もらったし!」

不二に相談し、「部室で、話してみたら?」と言われ、そうすることにした。手塚は、最初、納得いかない、といった顔をしていたけど、不二に脅され・・・じゃなくて、不二からも頼んでもらって、渋々、許可を出してくれた。

 「・・・じゃあ、行こうかな。」
菊丸 「うん!終わった後は、一緒に帰ろうねん♪」
 「そうだね。」


そして、部活の休憩中・・・。

菊丸 「〜!俺のアクロバティックプレー、見てくれてた?」

そう。まずは、普通の話。「言ってくれないのに、急に聞いたって、意味が無い。・・・だから、最初は普通の話をする。それで、会話が弾んできたら、本題に移すんだよ。」そう、不二が言っていた。

 「英二、あんなテニスしてるんだね〜・・・。最初は、ビックリしたよ。」
菊丸 「あんなのへへへの河童だって!」
 「じゃあ、試合ではもっと凄いの?」
菊丸 「あったりまえじゃん!」
 「へ〜、見てみたいな。」
菊丸 「じゃ、今度見に来れば?」
 「うん、ヒマだったら、ね。」
菊丸 「む〜。彼氏の為だったら、時間を割いてでも来いよ〜!」
 「え〜、嫌。・・・な〜んて、冗談、冗談。」

うん、こんな感じでいいのかにゃ?も冗談を言って、楽しそうだし。

菊丸 「あのさ、。・・・最近、教室であんまり、元気ないけど、どうしたん?」
 「え?そう?」

明らかに、嘘だ。絶対、気付いてるくせに・・・。でも、それを言ったら、終わりだ。

菊丸 「うん。今みたいにさ、笑ったり、冗談言ったり、してくんないもん。」
 「そうかな〜。」
菊丸 「ねぇ、。・・・・・・俺、ホント心配してんだ。何かあるなら、言って?」
 「・・・・・・・・・。別に、大したことじゃないよ。ただ・・・。」
菊丸 「ただ・・・?」

が小声で、言ったのも俺は聞き取った。不二が「ちゃんが話し出したら、1つ1つ、真剣に聞くんだよ。そして、何かを隠そうとしていても、ちゃんと聞くんだ。」と言っていた。

 「ちょっと、みんなに羨ましがられてるだけ。」
菊丸 「・・・が何でも出来るから?」
 「だから、出来ないこともあるってば。そうじゃなくて、英二よ。」
菊丸 「俺?」

俺が何かしたのかにゃ???そう思っていたら、とても不安そうな声が出ていたみたいで、は、すぐに言葉を付け足した。

 「英二の所為じゃなくて。私が英二と付き合ってることが羨ましいんだよ。英二、人気者だからな〜。」
菊丸 「それで・・・?」
 「ん?それだけ。だから、あんまり教室で話すと、みんなが羨ましそうだからね。そんなに話さないようにしてるんだ。・・・いや、心配してたのなら、ごめんね。」

そう言って、はその話を終わらせようとした。・・・なんだか、ひっかかる。まだ、何か隠してる?

菊丸 「ねぇ、。まさか、その子達に何か言われたの?」
 「・・・まぁ、ちょっと。」
菊丸 「何を言われたの?・・・言ってくんない?」

「控えめに言うことも大事だよ」不二のアドバイスどおりに俺は控えめに言った。

 「・・・・・・うざい、って。」
菊丸 「え?」
 「なんで、英二が私なんかと付き合ってるのか、わかんないだって。別に、その子達は、自分の方が英二と付き合うのにふさわしい、とかは思ってないらしいよ。ただ、私と付き合ってるのが、納得いかないんだって。だから、私の存在がうざいの。」

・・・それって、いじめに遭ってるってこと?俺と付き合ってる所為で?

 「それだけ。英二が気にすることじゃないから。」
菊丸 「なんで?俺と付き合ってるから、そんなこと言われるんでしょ?じゃあ、俺だって、関係あるじゃん!」
 「いいの、英二は気にしなくて。」
菊丸 「だって、は俺の所為で・・・。俺と付き合ってる所為で・・・。は、本当はいい人だし、絶対嫌われるはずがないのに、俺が・・・。」

俺がいるからだ。俺さえいなければ、はみんなに嫌われずに、済んだのに。こんな思いしなくて済んだのに・・・。

 「俺が・・・、何?」
菊丸 「俺が、この世にいるから・・・。だから・・・。」

そう言うと、は吹き出した。

 「英二、おかしいって!・・・なんで、そう考えるの?普通、別れる?とか言わない?」
菊丸 「・・・え?・・・・・・言って・・・ほしいの?」

まさか、俺と別れたいから、こんな話を・・・。

 「だから、なんでそんな風に考えるの?英二って、マイナス思考なんだね。意外だよ。・・・まず、これ全部冗談だから。」
菊丸 「・・・・・・・・・今、何て・・・?」
 「だから、冗談。」
菊丸 「・・・・・・・・・・・・。」
 「怒った?でも、怒らないで!ちゃんと、理由があるの!!本当、ゴメンね。」

そうが焦って言った。

菊丸 「本当に冗談?」
 「うん。ゴメン・・・。」

それを聞いて、俺はため息をついた。・・・いや、決して、怒ってるわけじゃなくて。本当に安心したから。

菊丸 「・・・・・・で、何のために、そんな嘘をついたわけ?」
 「・・・この前、私にも出来ないことがある、って英二に言ったけど、英二は、どこかでまだ私のことを、完璧扱いしてたでしょ?」

・・・たしかに、そうかもしれない。には、出来ないことがあるって聞いても、出来ることの方が多いもんね、とどこかで思っていたかもしれない。でも、それはいけないこと・・・?

 「だから、英二は私に頼る。別に、頼られるのが嫌なわけじゃない。もっと、頼ってほしいし、それで英二が楽になるのなら、私も嬉しいし。・・・だけど、英二は頼ってはくれるけど、逆に、私のことを心配してない気がしたの。・・・は、完璧。だから、心配することなんて、1つもない、って感じで。・・・それで、教室でも静かだったんだ。」

そう言っては笑ったけど、とても悲しそうだった。

菊丸 「違う。・・・俺、いっつもの心配してんだよ?だって、、俺が頼ってもそうだけど、他の人が頼っても断んないし、全部1人で背負い込んで・・・。いつか、が壊れにゃいか、ってずっと見てんだから。」

心で思っていたこと、そのままを言った気がした。・・・本当に、俺はが大好きで、ずっと見て、ずっと心配してる。

菊丸 「だから、今日だって、こうやってお話してんでしょ?」
 「うん。・・・だから、もういいの。わかったから。・・・こんな嘘ついて、ゴメンね、英二。どうしても、確かめたかったから、不二に協力してもらって。」
菊丸 「いいって、いいって!俺こそ、そんな風に考えさせちゃってゴメリンコ!・・・・・・って、不二?」
 「そう。不二に相談したら、いじめに遭ってることにして・・・、って全部提案してもらったんだ。だから、不二に感謝しなきゃ。」

・・・ちょっと、待って。どういうこと?

菊丸 「・・・不二〜。どうせ、そこにいるんだろ?早く、入ってくれば。」

そう言って、俺は部室のドアを開けた。

不二 「やあ。よかったね。」

笑顔で不二が言った。

菊丸 「どーゆーことさー!!!!」
不二 「まぁまぁ、怒らないでよ。・・・ん?、どうしたの?」
 「・・・いや、なんで英二、怒ってるの?」
不二 「僕にも、わからないな。・・・英二、説明してくれる?」

またも、不二は笑顔で言った。・・・絶対、バカにしてる〜!

菊丸 「だって、不二は俺の相談にも乗ったでしょ?ってことは、全部わかってて、これを仕組んだんじゃん!それに、俺達はまんまと・・・。」

はめられて、そう言おうとしたら、が言った。

 「でも、不二のおかげ、ってことには、変わりないんじゃ・・・?」
不二 「だよね。」

〜!騙されてるって!!

菊丸 「だから、は心配にゃの!人を疑わないから・・・。」

そう言うと、が笑顔で言った。

 「心配してくれて、ありがと。」
菊丸 「いや、別に・・・。俺は・・・。」
不二 「これで、めでたし、めでたし。・・・だね。」

不二は、そう言いながら、また笑顔だった。

菊丸 「どこが?!!」

本当、不二の笑顔との笑顔じゃ、全然違うにゃ〜。


俺には、彼女がいる。 っていうんだ。は、何でも出来ると思ってたんだけど、やっぱりも人。出来ないこともあった。だけど、俺は、まだを頼ったり、完璧だと思ったりしていた。それが、を傷つけていた。
俺はいつだって、を心配しながら見てるんだから、いつでも、俺を頼っていいんだよ、









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完璧ヒロイン再び!です(笑)。
前回のあとがきに書いたように、私は完璧ではありませんが、強がりな部分がありまして・・・。
人に頼るということが極端に嫌で、何でも1人で背負おうとした時期がありました。それはさすがに大変で、英二くんに助けてもらおうと、この話を書きました。・・・えぇ、病んでますね(笑)。
まぁ、その後、人は助け合っていかなきゃいけないと、もっともらしい考えに至り、現在は逆に、たくさんの方々にご迷惑をおかけしていると思いますが・・・。
これからも、よろしくお願いいたします♪(←これでも反省しています・・・!!)

一応、こっちは後編ってことですが、そんなに前編と繋がりがあるわけでもなく・・・。
それなのに、こちらも読んでくださった方、本当にありがとうございます!!